
ここは・・・東京都?
![]() ![]() |
はじめに ガイドブックによれば、グアムはミクロネシア文化圏で、チャモロ語、英語が主言語と説明されている。しかし旅行者にとってこの南の島は日本語文化圏である。ホテル、レストラン、ショッピング街は当然であるが、バスの観光案内も主言語が日本語で、英語の案内はヘッドホンという不思議な光景に出くわす程であった。 日本語が主言語のように使われるのは地理的な位置を見れば当然なのがわかる。地球儀でグアムの位置を調べれば伊豆諸島の延長と言える場所に存在し、日本からは3時間と少しのフライトで到着できる「アメリカ」である。しかしグアムはアメリカ本土から遠く魅力的なハワイがより遠い。なるほど、アメリカにとってグアムはホテル・ビジネスと軍事目的を除けば訪れるきっかけに乏しい。 一方でグアムは日本から近い上、フライトの片道料金が沖縄や北海道、時には大阪−東京間よりより安くなるのに欧米の一部である。日本人が観光客の大部分を占めるのは当然であるし、観光客が訪れる場所の主言語が日本語になるのは自然の成り行きであろう。特にグアムは日本で今でも増え続けている海外結婚式の場所として最高の条件が揃っている。日本からの距離、常夏という気候、珊瑚礁に囲まれた南の島、その上日本語が使えるということであれば言語障害も無い。ちなみに私たち家族も弟の海外結婚式に参加するためグアムを訪れた。プライベートな家族での海外旅行としてはオーストラリア以来、そして2歳になったばかりの千怜(ちさと)にとっては初めての海外、果たしてどのような旅になっただろうか。2004年11月 |
|---|---|
![]() ![]() |
到着 どのようにグアムに渡るのが得策か。私が設定した条件は3つ、フライトの期日が選べること、全ての時間がフリーであること、そして当然料金が安いこと。私たちはツアーというオプションを捨て、正規の早割り運賃と会社が保養所契約を結んでいるホテルを選択した。これで家族4人の合計金額が約20万円。ツアーと比べると高いように感じるかもしれないが、5泊という滞在日数、ホテルのレベル、海に面した部屋が選択できたことを考えれば十分リーズナブルではないか。 関空から飛び立つANAのフライトは深夜AM1:00過ぎにグアムに到着する。仕事を休まずグアムに向かいたい人にとっては絶好の時間帯かもしれないが、幼児をかかえる私たち家族にとってはあまりうれしくない時間帯だ。ただしグアムの空港に同時刻に到着する便が少ないことに加え乗客が少ないため、税関手続きが短時間ですむのはメリットである。岡山から昼の良い時間帯に到着した弟や両親は税関手続きに1時間以上かかったそうであるが私たちは10分とかからなかった。さて入国審査、911以来、2004年現在のアメリカ入国手続きは厳しい。出国まで出さえも繰り返される持ち物検査、指紋の採取や顔写真の撮影が行われる。特に指紋採取は気分が良いものではないが、息子は楽しみだったらしい。私たちの前の人が指紋採取されているところを見ていた6歳の息子は両腕をできるいっぱいに差し上げ、人差し指突き立てて係官に向け、わくわくしながら列に並んでいた。しかし彼に返ってきたのは係官の一瞬の笑顔と、"Maybe, next time"という言葉だけだった。息子はおもしろいほどがっかりとした顔になっていた。 空港からホテルまではタクシーで約10分である。ツアーだと送迎がありタクシー代金約20ドルが節約できるかもしれない。ツアーでなくてもホテルの送迎バスはありそうだった。しかしできるだけ早く到着して眠りにつきたかった私たちにとって、全員が入国手続きを終了するまで待機するであろうバスを利用する気にはならなかった。結果として飛行機がグアムに降り立ってから約30分後には部屋に到着した。部屋に入るとすぐにエアコンを止める。欧米のホテルは室温の設定温度が低い。たとえエアコンを切っても上下左右の部屋が冷え切っているのでエアコンを切っても十分に涼しいどころかまだ寒いくらいである。シンガポールでの経験が役に立っている。ベットがシングルで小さく、2歳の小さな娘であっても添い寝には厳しいサイズであった。それでもフライトの疲れからか窓から見える受け皿のような月とホテル街の明かりはすぐにぼやけ、眠りについていた。 |
![]() |
窓から見える光景 グアムを表現する言葉を挙げてみれば「夏空」、「海」、「ショッピング」。小学生並のボキャブラリーであるが、多くのグアム経験者が納得するはずである。グアムでは海を眺めることが至福であり、ショッピングに興味が無い人にとっては泳ぐことが最大の娯楽になる。これでは「グアムはつまらない場所だ」と印象を与えるかもしれないが、それでもグアムは訪れるに値するということを伝えるのがこのページの目的である。 到着した日の朝、目が覚めたると同時に飛び込んできた窓からの景色がグアムの魅力を強く主張してきた。言葉で表すことは難しいので写真を見てほしい。空は青く、雲と蒼の境目は明確である。海の色は太陽の角度と満ち引きで常に変化し、時に灰色で時にエメラルド・グリーンとなる。窓から外を眺めているだけで時間が過ぎていく、それでも時間が無駄には感じないといういつもの自分にはありえない感覚がある。(事実通勤電車で何もしないことに我慢ができず、このページを作成している。)この特殊な時間感覚がグアムの魅力を理解する鍵である。 窓からの景色はホテルの位置で違うはずである。Hiltonからは朝日が美しい。また時期にもよるだろうが、私たちが訪れたときは月明かりが水面に生えて美しかった。Hiltonからタモン湾をはさんだホテルからは夕日がきれいに見えるはずである。 |
![]() |
漫画で見るような結婚式 この旅の主目的であり、きっかけは弟の結婚式である。海外での結婚式は最近では珍しくないどころか、主流になりつつある。そうは言っても私たちにとっては初めての経験である。海外の結婚式なんて家族の結婚式以外は招待されないので(実は今回、半分無理矢理ついていった)隣人からうらやましがられる程で貴重な経験であろう。機会を与えてくれた弟夫婦には感謝している。 結婚式は海を眺める草原に立つ小さなチャペルで行われた。天気は快晴、ステンドグラスの隙間からは広大な海と「恋人岬」。まるでカップルは物語の主人公のような光景であった。参列者はそれぞれの両親と私の家族だけ。これがちょうどいい雰囲気の人数に感じるのは私も物語やアニメーションなどに感化されているのであろう。 しかし現場はスイスの田舎町ではなくグアムである。写真ではわからないだろうが、屋外は礼服では5分と耐えられない暑さ。嬉涙より滴り落ちる汗が視界を曇らせる。また、少々過剰な演出で本人たちも照れ笑いが隠せていなかった。例えば新郎新婦のために歌う男性。歌声はすばらしいものの、衣装がまるで普段着であったし、選曲が(英語だからわからないだろうと思ったのだろうか)少々場違いであった。その上新婦に向かって約1mの距離からの絶唱、ベールで隠されていたからわからないが、新婦の顔は赤くなっていたのではないか。また結婚式の2倍ほど写真撮影時間があったのも日本との違いだろう。ポージングの指示も大胆である。ただ、こんなことはあっても、日本の洋式の結婚式とは比較ができないほど理想的、幻想的であり、記憶にも記録にも強く残るだろう。グアムの結婚式にとって天気は非常に大きな変動要素であるが、その点でも弟のカップルは運がよかった。 ただすこし気になるのは「恋人岬」の伝説。結婚を反対されたカップルが自殺した断崖絶壁の事である。名前は良いがあまり縁起はよろしくない。 |
![]() |
海、プール、そしてリラックス 私は個人的に水泳が嫌いである。特に日本の海やプールにはまったく行く気がしない。人が多いし水は汚いし、芋洗いとは上手い日本語だと感じる。また日本の海は防波堤に囲まれており景観が優れない場所が多い。そんな私がグアムでは4日間の滞在の内なんと3日間も泳いでいたのは、他にすることが無かったとはいえ海やプールに魅力があったからある。まずホテルのプールには人が少なく、複数あるプールで泳いでいるのは各2家族程度、広いプールを1家族で独占状態できるときもある。プールから見える景色も最高。強い日差しの中で一面に水平線が広がる。人のことを気にすることなく、好きなように浮かんだり泳いだり歩いたり、息子と一緒にウオーター・スライダーを滑ってみたり、季節はずれの日焼けをするほど楽しんだ。海に下りて歩いてみれば足元には有名な「なまこ」とウニと色彩豊かな小魚が出迎えてくれる。水面を見るだけで「透明な水はこのように輝くのか」と驚かさせられる。ただ海は泳ぐには少々浅すぎる。さんご礁が防波堤になっているため太平洋の孤島でありながら波はほとんど来ない。さざ波が体をゆする程度である。 正直なところグアムで過ごした時間ほどリラックスできる機会なんて長い間出会わなかった。日本で長い休みを取って観光に行っても移動に追われ、時間に追われ、ホテルの狭い部屋では「リラックス」には程遠い。グアムでは泳ぎすぎて体の疲れや節々の痛みはいつもより激しいかったが、精神的にはすっかり「こり」が取れた。これがグアムの最大の魅力なのである。 |
![]() |
ショッピング三昧 グアムはあたかも島自体が免税店のような印象を受ける。少なくとも私たちの行動範囲、例えば繁華街、各ホテル、空港には免税店だらけである。免税店は多いが品揃えに問題がある。ほとんどがDFS直営店であるため品数は多いものの、どこの店に行っても品揃えが同じで、例えばほしい物がある店で見つからなかったとき他の店でも見つかる可能性は低い。その一方で島の物価は高い。理由として「大陸から離れた島だから」という家内の意見に賛成できるし、観光地値段というのも大きな理由だろう。全般的に物価が高いとはいえ良くチェックすれば日本より安価なものも多い。私個人的には安いものばかりであるがグアムらしいもの、人に言わせばつまらないものばかり買っていた。Tシャツ、ピンバッチ、日本では売っていないようなソフトドリンク、そのような類ばかりだ。 グアムの気温は高いので日本なら歩いていける距離でもバスを使わなければいけない。困ったことにこのショッピング・バスは店の営業時間、例えば朝は10時からしか動いていない。それまではタクシーでの移動となる。旅行者はこの点に注意したほうが良い。 もちろん免税店以外にも店はある。私はハイアット・リージェンシー近辺の中心街にある店と大型のショッピング・モールを訪れたが家内はアウトレットも訪れた。これらの店の品揃えも旅行者をターゲットにしたものが多く、見ているだけでも楽しく手ごろなものが多い。私は子供の世話に追われていたので十分に見て回る時間は無かったが、ショッピングが好きであればかなり時間がつぶせそうな場所である。 |
![]() |
島で食べる 今回は両親と共に行動することが多かったので、いつものようなチャレンジは控えめに無難な食事を選択した。一度は私たち家族だけであればまず行くことが無いであろう和食を選んでみた。通常海外の和食は「名ばかり」で、見た目は似ているものの味で驚くということが多い。しかしここではいくつかの風変わりなてんぷらを除けば日本人である私が日本食のお墨付きをつけてもよい。実際のところ、料理しているのは日本人ばかりなのであり、日本から近いこともあって日本と同じ食材が手に入りやすいのであろう。 もちろんチャモロ料理も試してみた。味やネーミングは東南アジアの料理に近いが、東南アジアに比べれば味が控えめで食べやすかった。焼きそば風のものナシゴレン?巨大なサテー焼き鳥風のもの味の薄い赤い色のライス(レッド・ライス)、後は魚や豚などが中心である。もちろん今日本では食すことができないアメリカ・ビーフも味わえる。フルーツはバナナを除けばどれも水っぽくて薄味。全般としてアメリカでありながら健康そうなメニューである。 もちろんグアムはアメリカの属領なのだから、アメリカらしさを味わうこともできる。ぞうり大のステーキ、おかわりし放題の炭酸飲料、巨大なハンバーガーやピザ。しかしこれらの料理は今では日本の主食に近いため、サイズや量以外は和食以上にいつもの食事である。 朝はバスが動いていない関係で、近辺に店が存在しないHiltonでの朝食はホテルで取るしか方法が無い。値段はどうしても高くなるが品揃えは悪くない。レストランの朝食はビュッフェスタイルであり、和食やフルーツなどが料理の種類が豊富で幼児がいても困らない。 |
![]() |
島の南部めぐり グアムのガイドブックには最初から理(ことわり)が入れてある。「グアムにはほとんど観光地がありません。」納得。そもそも観光とは言葉を変えれば、何らかのマイル・ストーンをオリエンテーリングのように回ることである。マイル・ストーンとなる目標物が無ければ観光なんてできないがグアムには確かにマイル・ストーンが少ない。ホテルの中心街には私たちが行った水族館のほかに、ゲームセンター、マッサージ、射撃場、ストリップなどがあるばかりで、「大人の男性」の欲望を満たすために作られたような施設ばかりで、観光にはならない。 そんな中、弟がバスでめぐるグアム南部めぐりへの参加を提案してくれた。3時間の弾丸ツアーであるが、バスカードさえ持っていれば10ドルとリーズナブルである。グアムは淡路島程度の面積で孤島であり、日本を含む多くの国に占領されてきたため歴史的な物が少なくて当たり前、時々あるのは侵略の歴史ばかりである。しかし前述の定義は一般的な「観光」の考え方で、広大な海原、時間が止まったかのような町並み、意外と峻険な山々を眺めて「癒される」事がこのツアーの目的ではないか。つまりグアムは島全体が観光地であり、ただバスに揺られるだけでそれ以上に何を求める必要があるだろうか。ただこのバスの問題点がある。スピードが速く景色を楽しむ余裕が少ない上、時々止まってくれるが、5分で出発という、まさに「観光」らしいツアーである。それでも値段と観光の達成感を考えればお勧めで、半日くらいはこのような観光をするのもよい。このツアーを利用する人はバスの発着場所は間違えないように。DFSの正面玄関側ではなくツアーデスクがある側(プラネット・ハリウッド側)である。 |
![]() |
マッサージ 50分88ドル、約1万円という値段でかなり躊躇したが、その価値があるのか、魅力があるのかと試してみたくなりホテル内のマッサージ、マンダラ・スパに立ち寄ってみた。私は2003年に通勤時間が増えてから方を中心とした体中のコリがひどくなり、2004年5月からマッサージにはまっている。日本でもシンガポールでも暇さえあればマッサージに通ってしまい、その料金で破産しそうな勢いである。通常日本では1時間6000円(回数割引で5000円位?)程度の店にしか行かないので、50分1万円という金額はその倍額である。待合室で待っているとマッサージ師が来て、別の部屋に「ご案内」される。部屋は個室でホテルの部屋程度はあったろうか。2つのベットがあるが片方しか利用していない。部屋にはアロマが焚かれ、かすかな香りがする。正直なところ料金の半額は「部屋の代金」ではないだろうか。マッサージはフットバスを除けばいたって普通だった。しかし初めて経験したフットバスは新鮮で、角質を取ってもらった後は驚くほど足の裏がきれいになって日ごろの洗浄不足を実感した。確かに値段だけのことはあるだろう。しかし植民地的な雰囲気が、差別を極端に嫌う外資系で働いているだけに、あまり気持ちが良いものではない。個人的には行きなれたビジネスライクなマッサージの方が気が休まってよい。 |
![]() |
旅を終えて 私個人にとってこのグアムは一連の長い旅の一部と感じている。シンガポール、東京(台風で足止め)、シンガポールと出張してからのグアムである。次の週は披露宴で実家の広島県呉市に戻る。ここまでが1.5ヶ月の間に訪れる。2回目のシンガポールの時点で精神的にまいっていたがMamma Mia!というミュージカルに出会ったことでどうにか乗り切れたようなものである。とにかく早く家に帰りたかった。それなのにグアムからは帰りたく無かったのである。家族が一緒だし「旅行はプライベートに限る」ということも確かであるが、このような気分になるのは場所の要素が大きい。グアムは帰りたくないという気持ちにしてくれる数少ない訪問地の一つである。 ANA便のもう一点の問題は、帰りの便が早朝という事である。帰国の日から仕事に行く人には…繰り返しになるのでやめておく。4時にホテルを出たがタクシーが30分くらい来なかったので、前日に予約しておいたほうがよさそうだ。アメリカからの牛製品の輸入が禁止されているためか、荷物のチェックが厳しいことが印象的だ。私の古い革靴まで調査していた。出国検査をどうにか乗り切れば、早朝5時というのにフル・オープンの免税店が並ぶ。しかしここでも街中の免税店と品揃えが同じで、滞在期間が短かったのなら別であるが、いまさら立ち寄るところは無かった。帰りの便もかなり空いており、静かな中で睡眠している間に関西空港に到着した。 |
![]() |
伝えたかった事 沖縄は癖になるということを良く聞く。グアムも同じことが言える。魅力の濃さは強さはインドなどほどではないだろうが、沖縄よりは強いかもしれない。旅はビジネスや観光ばかりが目的ではない。日本で1週間休んでもあまり「休んだ」という感覚を味わうことは難しく、逆に会社にいるときより疲れたりもする。しかいグアムは「休んだ」という強い感覚を覚える事ができる。実際の日数よりも長く感じたし、長く忘れていた「無駄な時間を楽しむ」「心が休まる」という事を体感できた。これがグアムの魅力であり、私が伝えたかった事である。 最後に一言だけ書いておかなければいけないことがある。今、グアムはアメリカにとって沖縄同様、軍事上の重要な拠点である。つまり太平洋戦争において日本はアメリカのGo Westを止めるためグアムを占領し死守するしかなかった。しかし地理的な理由はどうであれ、人種を見てもわかるとおりグアムは明らかに日本ではなく占領されるべきではなかった。悲しい歴史、繰り返してはいけない過ちがここで発生した事を理解し忘れないようにしたい。(2004年11月12日記) |