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脳と身体のネットワーク。
小学校の子供の教育の手法で、陰山メソッドとか斎藤メソッドとかいうのが昨今有名ですが、その御仁です。一度何か読んでみたいと思っていたところに出会いました。NHK教育TVの「にほんごであそぼ」の監修もされています。斎藤メソッドの特徴は、音読したり身体を動かしたりする方向から脳に刺激を与えて成長や発達を促していくところです。
例えば「卵をつかむ」という動作をロボットにやらせようとしたとき、物凄く沢山のプログラムを書かないといけないといいます。どの向きからどのぐらいの圧で握るか…割らず落とさず…。人は簡単に手にとっていたりしますが、実はこれは各感覚機関から入ってきた情報を「一つにまとめて統合出来てこそ」出来る体の動きだったりするそうです。とても難しいことを、私達は特に考えているふうも無く実は毎日やったりしているんですね。
でも、確かに赤ちゃんの手は最初の期間ずぅっと手に力が、入り過ぎぐらい入っているのでびっくりする事がありますね。大人でも握られたり叩かれたら時に泣きたいほど痛くて、凄い力が入っているのが解ります。それがだんだん成長の月日と共に、“これにはどれぐらいの力を入れようか”の判断が脳内で瞬時にはじき出され、加減よい力でつかむように発達していくんですね。
つかむ、歩く、走る、飛ぶ、色々な動作の一つ一つが、実は幾度も幾度も繰り返される運動の中から、自分の身体が自分に馴染むといった感覚に磨き上げられていくんだそうです。経験…<何度もつかむ、何度も歩く、何度も走る>…を何度も重ね、脳と身体のネットワークは形成されてゆくんですね。
こうした感覚と脳と身体とを繋ぐネットワークのことを、著者は「五感力」と言っています。しかし現代の暮しの中ではこのネットワークの発達の為に必要な外部刺激(つかむ機会、歩く機会、飛ぶ機会…それらを統合して遊ぶ機会)が少ない。
「五感力」が少ないとは、「自分の身体が自分に馴染んで動いてくれない」ということです。身体がしっくりと馴染んで動いてくれないので、言語、落ち着き、協調性などの発達に影響が出ます。つまりは、「思い通りに身体があやつれない」がために=落ち着けない、多動傾向になってしまう、他人とコミュニケーションが図りにくい…のだと。
(逆に言えば「五感力」を磨けば、言語発達や落ち着きや協調性なども自然と身につく)
また「人(自分)」が「動く」の外側には、必ず自分以外の「他者」との関係性があります。
自分の動きは必ず誰かの影響となるということですね。「話す」にしても他の何にしても、自分の動きは「他者へのレスポンス」でもあると言えます。
でも「他者」のことを判断するためには、実は「自分の身体が自分に馴染んで動いていること=五感力」が前提条件だといいます。「五感力」が育っていなければ、「他人」という感覚の感知も同じくしずらく、他者に迷惑や被害を与えるような行動をしても「平気」、あるいは「気がつけない」。今よく聞かれる言葉に、「他人にどう接していいかわからない」というのがありますが、それも「五感力」の育ちに関係があるということです。
つまり「五感力(感覚統合)」は、「自分の意思や気持ち」ともいえるかもしれません。
「いま・ここにある」気持ちを大事にする事が出来るか…が、行動に反映される。
「いま・ここにある」気持ちを「意味のないこと」切り捨てていると、目にする物、触れる物、その全てもまた、意味もないものにしか感じられなくなる。どうでもよく感じる。…心が振れない、感動しない…。「五感力」が弱まるとはまた、そういう事でもあるようです。
さらにこの本ではLD/ADHDの子供達の感覚統合(五感力)についても書かれています。
「外界から脳の中に入ってくる実に様々な感覚刺激を、交通整理してゆく脳の機能」のその、「交通整理」が上手くいっていないと推測される子供達がそれにあたります。
原因は環境ホルモンとも産科医療向上による未熟児や難産/早産の子の命が助かるようになった一方の…誕生の過程において微細な障害が脳に生じる可能性など、今論議されている最中ですが、「交通整理」が上手くいかないために、気が散って集中出来なかったり、途中で身体を動かし立ち歩いてしまいます。でもそれは「脳がなんとかして脳のスイッチを入れようと身体を動かす」故に起こる行動なのだということです。
けれど残念なことにそれらを「問題行動」として「学習障害」という名をつけて特別枠に入れ込んでしまおうとする問題的な学校も少なくないようです。勿論適切な指導が行なわれている校もありますが、しかしそんなことは満足に値しなく、どの校でも均等にそうでなければいけないくて。“「学習障害」という言葉を使うなら「指導障害」という言葉も使うべきで、責任が全て子供にあるような印象を与えてはならない”の一文がありました。
本当に“そうだ”と思います。
LD/ADHDの子供は今増えています。(他の発達障害の子供も、昨今は増えているのだと思います) 私達は他者と共に生きていかねばなりません。子供の五感力を…そして私達自身の五感力も鍛えていかねばいけない。…そう強く思います。
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