〜親を困らせる子供を上手に
伸ばす〜
ロス・W・グリーン/田辺希久子 PHP出版初版2003 (1500円)


こだわりが強く激情型の子供…についての本。

子供には、頭の中で一旦「こうしたいっ」という欲求を持ってしまうと、それが頭の中で一杯に膨らんで、しかもどうしてもそれが叶わないと「カーっ」と頭に血が上ってしまい他の何を言っても受け付けられずに泣いたたり怒ったりの大暴れしてしまう時も、あります。
そして大人はそうした「大爆発」に出くわすと非常に困ります。(^_^;) なんとか大暴れを止めさせようとしながらも逆に「火に油を注ぐ」ような声掛けや方法をとって、止めさせたいのに逆に30分も40分も爆発を止められず、仕舞いには親も子も疲れ果ててやっと鎮火する…なんてことも、よくあるものです。
この本は子供のそうした「爆発」の危機に、周りの大人達がどんな適切な援助や手助けをしてやれるかといった、その具体的な方策や手だてを示しているものです。

著者はまず、子供のこうした行動に対して「大人を馬鹿にしている」とか「やる気がないんだ」とか「我侭を言っている」と思い込んで決めつけて、反省を促すためおしおきをしてはいけない…と言います。
著者の国アメリカでは子どもの躾は「ごほうびと罰」を用いて行われるのが一般的です。でも爆発に突入してしまった子供にはもう、ほうびも罰ももう何も解らないんですよね。
おしおきは「ただ子供の不快部分を過剰に刺激するだけに過ぎないこともある」ということを、知って欲しいというわけです。
勿論「命の危険」に関わる場合もありますし、全ての「ごほうびと罰」を禁止することを言っているのではなく、ただ、「それよりも爆発に至る前に事前にそれを察知」したり、「察知して適切な助言をし、爆発でない道を子供が選べるように手助け」したりする方がどれだけ双方にとって重要であるか…ということを言われているのです。

子供が「カーっ」となってしまう時、子供達の頭の中はどんなことになっているのだろう…それをまず大人達は考えてみる必要がありますよと。子供達は自分の感情が上手く相手に伝わらないイライラ、それから問題を解決するのにどういった手だてがあるのかを導き出せないイライラ、そういったものが子供達にカーっとをもたらしているんです。
そして、そういったことが最初から上手く処理出来る人間はない…。子供達には経験が不足していて、その経験部分を、大人達が手助けするしかないではありませんか…と。

「自分の感情にぴったり有った言葉」を探し出し、その言葉を使って「相手に伝える練習」をするには、幾つかの言葉を例として挙げてやるのもよいです。…○か×か△か、何にイライラしているの?と具体的に前に示して見せてやる方法です。また問題を解決するには「子供」と「相手」との望みを具体的に見せ、どうしたら歩み寄れるかを「子供に選んで決めてもらう」とよいです。…子供は3時が良いといい、親は5時が良いといい、「じゃあどうしたらいいかな?」と具体的にあげて、「真中の4時にしましょう」と持っていければ爆発は回避出来る…とこういう具合に具体的に示しています。

そして基盤として、子供の耳に言葉が届くのは、相互の間に信頼関係がなりたっていての成果です。その為には子供に「自分達は味方である」と認めてもらわなければなりません。それには「子供にとってい生きやすい環境づくり」が必要です。問題解決までの「案内図」を示しながら一緒に行く。…そうしてこそ子供は、次には少しずつ高めのハードルのことも飛んでみようかな?という気になってくる…。脅したり罰を与える方法では子供達の敵に回ってしまいます。だからそれではいけない…というわけです。

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この本は、アメリカボストン在住の認知行動心理学の先生が書かれた本で、原題は「短気で暴言・暴行に走りやすい子どもをもつ親のためのガイドブック」といい、反抗挑戦性障害(ODD)、注意欠陥他動性障害(ADHD)、うつ病、トゥーレット症候群、強迫性障害(OCD)、言語処理障害、感覚統合障害、反応性愛着障害、アスペルガー症候群などの診断を受けている場合の子供達を含め、自分の気持ちをうまく相手に伝えたり、柔軟に気持ちを切り替えることに親や周囲の手助けを必要としている子供に関わる大人達へのアドバイスが、具体的に方法として提示されている本です。

「子供の個性を理解すること」…その子供にどんな能力があって、そしてどんな状況に置かれると弱点があらわになってしまうのかを見抜くこと。困っているときその子がどんな方法でそれを伝えようとするのか心得ておくこと。そして本人も救われ、親子の絆も深まるような形で援助を行うこと。…を、具体例を上げながら何度も示されています。

しかし「子供の個性を理解すること」と文字で追うのは簡単ですが、「こだわりが強く激情型の子供」は、いつも些細なことで激情し暴言や暴力を奮ってしまうので、親達はいつも大変な思いをしてしまいます。「子供の個性をありのままに大切にし理解し援助をする」…といった、ある種当たり前のように言われる言葉自体が、しかし現実社会の中で、相当な負担となって親達にのしかかっているのが現状です。

ですからそこのところを「なぜありのままに理解しないのだ」と親を責めてみても、実際にはひとつも子供達の救いにはなりません…。それよりも「親達にとって解りやすい言葉」で子供のことを伝え、「親達が具体的にとりやすいアプローチのし方」をアドバイスしてゆく方が、現実的に子供の助けになるはず…。この本は、そういった視点に立った子供援助のためのノウハウが書かれた、その為に必要な本…そう思います。

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