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万人の中に住む「子供」たち…への暖かいまなざし
人間の精神の発達とは、どのような順をおって進んでいくものなのか?…という漠然とした疑問に、筋道を立て回答してくれたのが本書でした。ちょっとお値段が張るので「良い良い」とは聞いていたのですが手が出ずにいたところを図書館で見かけたので借りたわけなんですが、物凄く勉強になりました。買って手元に置いていても良かった!と本当に思った本でした。
身体の発達に関して、私達は少しは知っています。まず生まれたての赤ちゃんの身体はどのような状態で、やがて首が据わり、寝返りし、身体を持ち上げ始め、おすわりをし、ハイハイして、つかまり立ちをし、歩行しはじめる。それはある意味「見たまんま」。目で見たらそのままの様子なので把握しやすいです。
だけど精神面での発達は見たまんまというわけでもないのですよね、同じ仕草や様子を見せても何故その現状に至っているのかというのは、見えにくい。何故泣いているのか、何故トイレトレーニングが進まないのか。子供達の精神がどのような発達位置にあるのかを非常に細かく丁寧にしかも解りやすくとりあげられていました。
ここでは私が読んで感銘した3つの事柄を紹介してみます。
1つは、精神面での発達においても、首が据わって次に寝返りをするというような「順序」があるということです。
人はまず生まれてから母性的なものでに包まれ、そこで「自分は受け入れられている」という安心感や信頼感を育む…。これが満たされると次に「外の世界への興味」へと発展していくと…。「自分は受け入れられている」という安心感が根にあるので、安心して外の世界を覗いてみようかな?という気持ちが湧き出してくる。
そして、そのあと「いろいろな人が居る」という、社会を受け入れ知ることが、やっと出来るようになるという…、これが精神の発達の順序だということなんです。
「社会には色々な人が居て、皆が楽しく過ごせるように色々な決まり事もある」といういわゆる躾ごとは、父性的なものということ…。つまり、人の心の中にはまず、一番最初に母性的なものが必要で、これがきちんと吸収されていないと、いくら後から父性的なものを乗せようとしても、絶対に乗らない・吸収されない・理解出来ないと、そういう事なんだそうです。
昨今、街中で社会性を注意したくなる若者の姿も多いですが、そして彼らに実際注意をして逆に命まで奪われてしまう事件も起きたりしていますが、あれは実はこういうことが根にあると…。彼らは母性的なものを十分受けとっていないので、そこに父性的なものを載せようとしても、「理解出来ない・解らない」から苛立ち反撃してくる…という…。
精神の発達は、幾つになったから身につくだろうという風ではないということ、首が据わらない子供は決して寝返りはしないということ。であるから、幾つになったからとても人は母性で満たされる必要があるということ。…青年であろうと、成人であろうと…。
それからもう1つのことは、「意思の強い忍耐力の有る人間」を育むにはどうしたら良いか…ということで行われたという少し昔の時代の欧州での実験の話です。
夜中に一切の授乳を止めたグループの子供と、何時でも欲したら授乳されるグループの子供と、将来的にどちらが忍耐強く意思の強い人間に育ったかということなんですが…。
授乳を止めた子供達はだいたい3日で遅くても2週間後には泣かないで朝を待つようになったというのですが、実際忍耐強い子供に育ったのは「何時でも授乳された子供のほうだった」という話でした。
それは、朝まで泣かなくなった子供は忍耐強くなったので泣かなくなったのではなく、早く諦めるようになってしまった、諦めることを学習したということだったというのです。
泣く…自分の要望が通るまで泣き続けるというのは、諦めない、忍耐強くやり続ける…とそういうことだったと。これは、考えてみればそうだなと思えるのですが、日々子供の泣き声に悩まされている親の立場としては、この話を聞いてから忍耐強く「子供の泣き」と向き合える姿勢、よ〜し付き合ってやろうじゃないかというファイトを貰ったような気持ちになったのでした。(^_^)
最後の1点は、「優しい思いやりのある子」に育むにはどうしたらよいか。
答えは小さな事柄、ほんの些細な事柄に「感謝」を感じられるかどうか…。子供はこれを他のだれあろう自分の親の態度から見て学習すると。口で言ってもダメ。それはつまり…子供を大事にというのは、自分を大事にというコト…であるのかもしれません。
親である自分が優しく思いやりを体現出来ていますか〜? ストレス溜まっていませんか〜? お疲れは癒さないと、自分を追い込んではいけませんよ〜…、そういった著者の優しい声に励まされ、安心して自分の精神の発達と向き合い直す力をも貸して貰える…そういった本で。(^_^)
なお続刊は、初刊への感想に対する質問に答える形でよりわかりやすい説明が行われています。それから加えて、精神発達遅滞の子供達に関することも載せられています。人間の脳について、その違いは一本線上の同一線上のものであるという、その違いの違いの無さというかの認識が改めて理解出来ました。
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