
「ニンジャ」による雲母鉱床採掘(2006年03月01日)
モンゴルでは現在、「鉱山法」改正作業が進行している。国家大ホラル(国会)では経済常任委員会が、政府では商工省が、議員立法側ではО.エンフサイハン議員(民主党)を中心とした議員たちが、それぞれその改正内容を検討中である。
その骨子は、国有財産である地下資源(注:モンゴル憲法によって地下資源の国有が明記されている)の開発をどのように進めるか、ということにつきる。これについては、
以前にも論評した。
この間、日本の「忍者」のごとく、法の間隙をぬってすばやく行動する、「ニンジャ」(=鉱物資源の個人採掘業者)が金採掘のみならず、その他の鉱床にも出没するようになっている。
ウヌードゥル新聞(2006年03月01日付)によれば、モンゴル西部のゴビアルタイ・アイマグ、トンヒル・ソムのツァヒル・トルゴイという地に、ゴビアルタイ、ホブド、バヤンホンゴル、さらにはウランバートルから、「ニンジャ」が群集し、雲母を掘り始めた。
当該ソム当局は、環境汚染を懸念し、4〜5人を拘束して取り調べている。
この雲母鉱床は、ある会社が発掘権を取得して調査したが、発掘はしていない。
モンゴルには、雲母鉱床が約30ヶ所ある。雲母は、コンピュータや電気製品の絶縁部、および自動車窓の遮光に利用される。これを中国と韓国商人が4〜5トンを5千〜6千トグルグで買い取る。
さて、当面の問題点は二つほどある。
まず、この「ニンジャ」という零細業者の活動の問題がある。彼らは、個人的に不法に(注:土地採掘許可は取得していないから)鉱物資源を採掘する。
市場経済の混乱の中から生まれ、経済活動の無制限的「自由」を「市場経済」と理解している、零細個人採掘業者の活動を禁ずることは不可能に近い。また、石炭の採掘中、坑道の陥没事故で死亡する事故も後を絶たない。
まして、就業機会の狭小なモンゴル産業にあって、モンゴル国民の「正当な」経済活動でもあるという一側面も持つ。
そこで、彼らを不法化するのではなく、合法な存在にし、採掘認可を与え、「協同組合」化して、その積極的活動を支援する。その過程で自然保全対策を義務づける。
第二に、自然環境保護対策についての問題がある。「アイマグ(県」ー「ソム(町)」ー「バグ(村)」という地方自治行政構造の中で、自然に直接対峙する「ソム」や「バグ」の果たす役割は大きい。だが、モンゴルの行財政構造は中央集権型をとっており、現地の意見が充分に反映されない(注:これに関しては、拙稿
「地方行財政とヘンティー・アイマグ」参照)。
自然監督官もソムに常駐しているが、法的権限の曖昧さ、不十分な自己防衛手段(=銃器)などのため、活動が不活発である。であるから、こうした自然環境対策は、そこに住む牧民たちに委託する必要がある(資金を含めて)。彼らは自分たちの環境についての保全は必要不可欠なものであるから、積極的に対応できる。これは、不法な森林伐採にも有効であろう。
終局的には、現地の牧民たちが自ら、鉱物資源の有効利用を行うことが重要である。ウヌードゥル新聞は、「(彼らが)これを正規の産業にすべきではないか」、と訴えている。(2006.03.05)
