ヒラタクワガタ総合飼育マニュアル
-Dorcus属最大種の基本的飼育方法-

第二版
T.始めに・・・。
外国産クワガタ・カブトの輸入解禁から早いもので約4年の月日が流れた。それ以来最も多く輸入されていたのがヒラタクワガタの仲間だ。その飼いやすさ、大きさ、迫力から外国産の入門種として輸入解禁当初から親しまれてきた。一番最初の外国産として飼育された方も多いのではないだろうか。これから外国産を飼われる方も是非ヒラタクワガタの仲間から初めることをお勧めします。入門種扱いされるが、飼えば飼うほど奥が深い。集めだしたらキリがない数になるしヒラタクワガタと一言に言っても大きくて迫力のあるオオヒラタやダイオウヒラタや、忘れてはならない国産の本土ヒラタや離島ヒラタ、重戦車アルキデス等フトヒラタの仲間、小型だがとても上品で綺麗な形をしているライヒヒラタ等多種多様な種類がいます。そんな素晴らしいヒラタクワガタ達の飼育について、基本的な内容を書いてみました。これから飼う人の参考になればいいなと思います。すでに飼育されている方にも、ヒラタクワガタの魅力が伝えられればと思います。
U.ヒラタクワガタとは?
前項で述べたようにヒラタクワガタは様々な種類がいます。この項ではその各種を簡単に紹介します。多少誤りもあると思いますがご了承ください。(この飼育方法では主にtitanusを中心に解説しようと思う。)
本土ヒラタクワガタ
学名:Dorcus titanus pilifer
分布:九州〜本州の東北地方まで
体長:♂29〜74mm ♀44〜20mm
解説:日本産のヒラタといえばあまり馴染みの深いものではなかったと思う。憧れとなっていた反面、小さい頃に採集したがあまり採れなかったと言う話もよく聞く。しかし、生体や採集方法を知ってしまえば案外難しいものでもなかった。主な発生時期が初夏であることや木の洞の奥深くや樹皮裏を好むために特性をしらなければ採集は難しいと思う。(いくら木の洞奥深くに入っているからと言って洞や樹皮裏を破壊したり煙幕を使って荒っぽい採集はヒラタの生息する場所を減らす事に繋がるため止めていただきたい。)関東より関西の方が数が多いみたいで場所によって形が違うみたいだ。飼育はというとオオクワより頑丈ではないが比較的楽で水分の多い環境を好む。ヒラタクワガタといえば見た目どうりかなり凶暴なので挟まれないように気をつけたい。喧嘩にもめっぽう強いのも魅力のひとつだろう。(♀殺しも非常に多いのでその辺は気をつけたい。)
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本土ヒラタ(兵庫県産) |
離島産ヒラタクワガタ
分布:南西諸島
解説:離島ヒラタは本土ヒラタと明らかに違う特徴をもつため別の亜種とされている。国産と言ってもかなり巨大な物が多い。外国産を思わせる風格を持つサキシマヒラタや小さいが赤くて綺麗なダイトウヒラタなど他種多様だ。「titanus」種ではないが背中の点刻状の模様が美しいスジブトヒラタ(この種はブリードが難しいらしい。)や日本には対馬にしかいないやや小型のチョウセンヒラタというのもいる。国産と言っても他種多様でなかなか奥が深い。
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サキシマヒラタ | ![]() |
チョウセンヒラタ |
オオヒラタクワガタ
学名:Dorcus titanus〜
分布:東南アジアに広く分布する
体長:♂105〜22mm ♀44〜20mm
解説:本土ヒラタと同種だが形や大きさが随分違う。大きいものでは100mmを越す。外国産のクワガタの中では最も多く入荷する種類だ。島ごとによって大きさや形にかなりの差がある。力がものすごく強いので挟まれないように注意する。(国産でも挟まれると結構痛いのにこんなサイズになったらもっと恐ろしいのは言うまでもないだろう。)大きくて強いのも魅力の一つだろう。飼育も環境に強く飼育温度は10℃以下にならなければ全然平気なので場所によっては年中常温で飼える。暑さにも強いが30℃を越えるような環境は確実に寿命を短くするのでできれば温度管理もした方がいいだろう。オオヒラタを飼う時は幼虫飼育が国産と比べ物にならないくらい大食漢でオスの大型を飼うのにはそれなりの大きさのケースがいるので十分準備には心掛けたい。(しかも沢山卵を産むので要注意)離島ヒラタにもいえることだが国産と交配することで雑種化する事が良く知られている。確実に生態系を崩す原因となるためにどんな事があったとしても放虫は絶対にしてはいけない。最後まで責任を持って飼えない人は飼う資格がないと思う。(同じ国産であっても離島産や違う産地のものも影響を与える可能性が高いですしいずれにしても逃がすという行為はいけないと思います。)
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スマトラオオヒラタ | ![]() |
セレベスオオヒラタ |
ダイオウヒラタクワガタ
学名:Dorcus bucephalus
分布:ジャワ島
体長:♂91-40mm♀50-29mm
解説:ジャワ島で特化したヒラタクワガタでtitanusとは別種である。しかしtitanusにかなり近い種類で飼育方法、姿形はかなり近いものがある。ダイオウヒラタと言うと名前に見合うくらいに体が太く大顎も独特の形をしている。そういうところから人気が高い。飼育の点はオオヒラタと同じと考えてよいがオオヒラタに比べると少し難しいみたいだ。それから暑さには少し弱いため、夏場の温度管理には気をつけたい。
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ダイオウヒラタ |
アルキデスヒラタクワガタ
学名:Dorcus alcides
分布:スマトラ島
体長:♂98-33mm ♀48mm-39mm
解説:スマトラ島特産種で高地に生息している。形は重戦車のように丸く太い。大型になると同サイズのオオヒラタよりも迫力がある。大型でも短歯系という形がでるようで、それも人気の秘密である。性格はオオヒラタ並に凶暴でかなり力が強いので注意する。飼育は
上記の種類よりは難しいものがある。とにかく暑さに弱く夏場に温度管理ができないとかなり厳しい状況になる。これはほとんどのフトヒラタ(トラキクス・ユーリケファルス・タウルス・パプアヒラタ等)にも共通し、こういう種類を飼う時は十分に設備を整えてからにしたい。
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アルキデスヒラタ(長歯型) | ![]() |
アルキデスヒラタ(短歯型) |
その他のヒラタクワガタ
解説:過去にオオクワガタと言われていたタイプのヒラタクワガタで国産のスジクワに似た形ライヒヒラタ、ラマヒラタ(飼育難易度や大顎の形から近い種類ではないかと思う。)他にもティティウスヒラタやミ―クヒラタがいる。元オオクワ系のヒラタ類は飼育がかなり難しいと思う。私も一度ライヒヒラタに挑戦したが暑さのせいか失敗に終わった。また挑戦してみたいと思う。(現在はライヒに生体も近いであろう国産のスジクワの飼育を成功させようと頑張ってみようと思う。)やっぱり難しいので飼育がある程度慣れてから挑戦するべきだと思う。
まだまだ紹介しきれていないヒラタクワガタもいるが大体3タイプに分けると飼育の簡単なtitanus系とフトヒラタ系と元オオクワのヒラタ類に分けられると思う。それぞれのタイプの基本をおさえる事でほとんどのヒラタは飼えるだろう。(元オオクワ系のヒラタ類はまだまだ未知数なので今後も調べて行きたいです。)
V.成虫を手に入れる。
成虫を手に入れる場合、自分で採集しないとなると、外国産や離島産の個体はお店で購入となります。買うときには生き物ですから責任をもって最後まで飼えるか今の状態で飼える状態なのかどうか良く考えて購入しましょう。ヒラタの場合は近年値段がかなり落ちているので、成虫も小型なら比較的安価で購入できます。しかし、購入する時にはしっかりした信頼できるお店で購入するようにしましょう。その他の注意点は符節がきちんとついているか。重みがあるか(軽いと寿命が近いです)。傷だらけでないか等をきちんと調べてから購入した方が無難です。(生き物なので返品が効かない場合があるのでご注意を)
本土産の場合は野外採集をしてみましょう。ヒラタと言えば難しそうなイメージがありますが条件とコツさえ知っていれば大丈夫だと思います。ヒラタクワガタは飼育して分かるように水分の多い場所を好みます。採集ポイントは、近くに池や沼や川があるところを狙ってみましょう。(低地の河川敷などもいいです。)クワガタやカブトを採ると言うとクヌギとかをイメージしますがアキニレやヤナギなどにも好んで生息しています。採る時には樹皮裏や木の洞の奥深くを好むのでかき出し棒やピンセットを使うと良いと思います。また、いくら洞の奥にいるからと言って煙幕や洞や樹皮裏を破壊するのはヒラタクワガタの生息環境を壊すことになるので絶対に止めましょう。発生時期ですが一見盛夏がいいように思われますが盛夏より初夏くらい方が確実です。(メスは夏になると突然採れなくなったりもします。)早目から採集されることをお勧めします。分布からも言えると思いますが低地に好んで生息するので地方によっては採集の難しい地域や全く採れない地域もあると思いますのでその時は購入を考えられた方がいいと思います。
W.成虫を飼う。
ヒラタクワガタを手に入れたら次は実際に飼ってみましょう。飼育するだけの分には簡単な種類なのでそこまで神経質になることも無いと思います。しかし、せっかく飼うのですから大事に飼って長生きさせましょう。飼えなくなったからと言ってもともといた場所に返す以外は逃がしてはいけないと思います。外国産や離島産の場合は生態系を崩す原因となりますのでもってのほかです。種類によって飼育法が多少異なりますが基本的には同じです。(ヒラタクワガタを何種類も飼う場合には特に注意すること特にメスはケースから逃げ出してしまった場合確実に同定不可能になるのでそういうのはセットしないのがいいと思います。)
<飼うのに必要なもの>
特に特別なものは必要はありません。夏場のスーパーやホームセンターでも購入できますが、季節が外れるとあまり取り扱ってないので夏のうちにまとめ買いしておきましょう。専門店などでは質のいいものを一年中買い求めることができます。飼育規模が上がってきたら大量に飼育用品が必要です。そういう場合では専門店でまとめて買ったほうが安価で安定していていいです。
1.飼育容器
成虫を飼うにはプラスチックケースや小型のコンテナがいいと思います。コンテナを使うときには密封性が高いケースは蒸れて窒息する危険があるので穴をあけて使用して下さい。(飼育して気付いていたのですが大きいケースの方が長生きするみたいです。きっとストレスが少なくなるからでしょう。)穴を開けるとコバエなどの問題がありますので穴をあけた部分を医療用テープで防ぐといいみたいです。(この事については次の項で詳しく解説します。)
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プラケース | ![]() |
こんな感じのコンテナでも問題なく飼える。 |
2.餌
昆虫ゼリーが管理がしやすいのでいいと思います。成虫を飼育するだけなら安価な物でも問題はありません。ゼリーを十字にカットしてあたえると長持ちしていいようです。注意事項として、ゼリーの容器が大顎に挟まって取れなくなる事故や、小型種の場合ゼリーの中で抜けられずに溺死することがありますので気をつけましょう。また昆虫ゼリー以外の餌を与える場合、バナナやリンゴ等の果物がいいと思いますが腐りやすいので早めに交換されることが必要です。
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成虫を買うだけなら安価なゼリーだけでも大丈夫 |
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産卵前の♀や産卵セット中はこういった 高たんぱくなゼリーを与えたい。 |
3.昆虫マット
成虫を飼うだけの分には、通常に市販されているもので構いませんが、売っている状態だと乾燥しすぎている場合が多いので水分を調整しましょう。水分の多過も生体に良くなく、触った感じで湿度が感じられるくらいにしましょう。飼っていると水分が蒸発していくので乾燥したら霧吹きなどで湿らせましょう。
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同じく飼うだけなら安価なもので問題ない。 |
4.餌皿、のぼり木等
これはあってもなくても構いませんがやはりあった方がいいみたいです。餌皿はゼリーをセットして入れると、餌をこぼすことが減り効率よく採食ができていいです。餌皿は餌を与える以外の効果に活動しない時にクワガタの寝床となるため擬似的に自然界での生活に近くなり良いと思います。あとは転倒防止の効果があります。のぼり木にも同じ様な効果があると思います。ケースの都合上これらのものを入れられない場合は、樹皮や産卵木の割った後の残骸の材を入れると転倒防止や休む場所になるので入れておいたほうがいいです。
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餌皿 |
5.霧吹き
マットの水分の調整に使います。100円均一等の安いものでもいいですが壊れやすいものもあるので、園芸用のしっかりしたものを使用することをお勧めします。(100均なども品質はどんどん向上していますが・・・)
<飼う>
ケースにマットをある程度敷き詰め水分を足し餌皿や樹皮等の小物やゼリー等をセットしましょう。基本的にクワガタは夜行性なので夜の方が観察しやすいです。餌は古くなったり食べ尽くされたりしたら交換しましょう。湿度を保つのが重要なポイントです。マットの表面が白っぽくなってきたら霧吹きで湿度を保ちましょう。ヒラタクワガタは凶暴で大変力が強いので餌交換の最中等挟まれないように注意しましょう。外国産ヒラタに挟まれると痛いと言うより骨がズキズキすると言う感覚です。挟まれても無理やリはがそうとせず地面につけて放すのを待ってください。無理矢理をすると返って傷だらけになります。
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セレベスオオヒラタ飼育風景 | ![]() |
食事中のダイオウヒラタ |
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沢山飼うのであれば同じ容器で 管理するのがコンパクトにまとまって管理しやすい。 |
<越冬と温度管理>
国産のヒラタは冬になると越冬モードに入ります。室内の場合は11月中旬から3月下旬にかけて越冬しますこの時期は餌は必要ないですが、たまに暖かい日などがあると出てきて餌を食べる時があるので一応、十字切りしたゼリーを置いておきましょう。
外国産ヒラタはそこそこ耐寒性があるので10℃くらいまでだったら大丈夫です。(冬場常温で飼っていると国産のようにマットの中でじっとおとなしくしてる場合が多く餌もあまり減りません。)しかし、たまに落ちることもあるのでやっぱり温度管理はする方をお勧めします。ちなみに国産でも温度管理をすると越冬せずにそのまま活動します。
夏場には結構強いのですが全然だめな弱い種類もいます。オオヒラタはある程度頑丈ですがそれ以外の外国産のヒラタは極端に弱い種類(特にフトヒラタ等)もいます。外国産ヒラタは東南アジアの暑い所に生息していると思われがちですが、実際は結構高地だったりします。暑さに弱い種類のしいくには、エアコンや保冷材をいれたコンテナ(一日三回は交換が必要です。)等で管理された方がいいでしょう。なお、オオヒラタや国産ヒラタでもあまりに暑すぎる環境は個体を確実に弱らせることになりますので、できれば温度管理をした方がいいでしょう。温度管理と言う点では冬場より夏場の方が気を使うと思います
<寿命>
大事に飼えば二〜三年は生きます。産卵や交尾にした後の個体はあまり長生きしない傾向にあります。最後まで責任を持って大事に飼いましょう。
X.コバエ.ダニ.カビ等について
クワガタを飼うと必ずと言っていいほど雑虫やカビが発生します。これは避けては通れないことなのです。これが原因でご家族からの非難に遭われてやむなくやめるしかないと言う状況に追い込まれる可能性もありますのでご注意ください。
1.雑菌(カビやキノコ)
カビやキノコが生えて驚かれる方もいるようですがほとんど影響ありません。産卵木に生えていても産卵を始めると不思議なことに自然に消えていきます。成虫飼育や産卵セットの分にはあまり影響の無いように思います。
菌糸瓶はキノコの菌糸を使っているので使用しているとキノコが生えてくることがあります。菌糸瓶がスカスカになることがあるので早めに抜いてください。(余談ですが菌糸瓶のキノコは食用のものが多いので食べてしまっても問題ありません。) 菌糸瓶が腐敗してカビ等が生える場合交換してください。
2.コバエ
いわゆるクチキバエやショウジョウバエのことを差します。飼育には直接問題は無いですが増えると、クワガタを飼っているのかコバエを飼っているのか分からない状況に追い込まれます。赤いショウジョウバエの方は昆虫ゼリーなどのゼリーを食べますので成虫を飼育しているケースの間に新聞紙を挟むとか通気のための穴に医療用テープ等で穴を通気できるように塞いで侵入を防ぐと大丈夫です。しかし、本当に厄介なのはクチキバエの方です。マットがあれば、そこで大量繁殖し、とんでもないことになります。上と同じ様な対策で侵入はある程度防げますがどこからか侵入して増えている場合が多いです。増えてしまった容器はそれ以上、外に逃がさないため、出入りできないようにしておくとよいでしょう。発生した場合の対策として、ケースの隙間に掃除機のノズルを差込み全部吸い出すとある程度は減ります。(このときクワガタまで吸い込まれないように注意してください。)もうすでに部屋で飛び回っている奴は「ハエ採りリボン」や青い光の出る電気殺虫器とかで減ります。数は減らすことは可能ですが完全に撲滅となるとかなり難しいでしょう。コバエを防ぐためのクワガタグッズも開発されているので使われるのもよいと思います。
3.ダニ
WILD物の成虫を買うとよく付いています。殆どの場合はクワガタに体についた食べカスとかを狙ってくるのですが、中にはクワガタを弱らす原因となるものもいるそうです。今の所あまり詳しいことは分かっていませんがダニが付いていたらハケやハブラシなどで取ってあげましょう。
4.朽ち木に住む雑虫
産卵木にはもともとシイタケのホダ木として使われていたものが多いので、雑虫が入ってる場合があります。殆どの雑虫はあまり問題にはなりませんが中にはコメツキ等の肉食の幼虫もいます。コメツキがいるとせっかく産んでいた幼虫も食べられてしまいますので、材は中の雑虫を殺すためにも使う前に殺虫しておいたほうがいいです。電子レンジ(なかの雑虫はしぶといので長めにしたほうが無難です)を使うと一番手っ取り早いですが熱湯殺虫等の方法もあります。この方法は材を浸水させる時の水の代わりとして熱湯を入れるとよいです。また、材を長い間水に浸けておくと殺虫できるというと言う方法がありますが、完全には除去できないのであまりお勧めできません。
Y.産卵〜回収まで
クワガタを入手したら、せっかくなので産卵させてみましょう。ただ飼っているだけよりも面白いです。ここでは産卵から回収までを解説します。産卵させるときにはそれなりの覚悟がいります。(産卵させると当然幼虫が増えます。)オオヒラタだけでなくヒラタクワガタの幼虫を飼うには結構大変なものです。スペースもコストもかかるでしょう。ブリードは計画的にしましょう。(産卵もある程度温度が無かったら産んでくれないので国産は夏場、外国産は春〜秋にかけてするとよいでしょう。温度管理をする場合は外国産の時は冬場でも産みます。)
<用意するもの>
1.飼育容器
先ほどと、同じようにプラケースやコンテナでいいです。ケースの大きさは大きいに越したことはありません。小型種でも小ケースくらいは用意したほうがいいと思います。大型種になると大きいケースが入ります。
2.昆虫マット
ヒラタクワガタはマットにも産むので発酵済みで良質なマットがよいでしょう。
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産まれた幼虫がそのままもぐりこむ事も多いので特に良質なものを・・・。 別に幼虫に使うようなマットでも大丈夫です。 ←このくらい発酵している方が無難。 |
3.餌
成虫の飼育でも紹介しましたが昆虫ゼリーがいいと思います。しかし産卵や交尾はかなりの体力を消耗するみたいで栄養価の高い餌をあたえます。これは産卵数にも影響するので注意しましょう。動物性のたんぱく質を与えるとよく産みます。産卵用の高たんぱくゼリーも売っています。(通常のゼリーよりは若干高いです)
4.産卵木
基本的に産卵木に産卵します。産卵木はホダ木の廃材などがよく利用されます。専門店や夏場のホームセンターなどに売っています。ヒラタクワガタは柔らかめの材を好むようですが、少しくらい硬くても平気で産んでいました。ただできるだけ、柔らかい材を使うとその分産卵数も多いとおもいます。
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材の質が悪ければマットメインで産む事も・・・。 | ![]() |
細くても良質のものが良い。 |
5.餌皿、のぼり木
産卵となるとオスとメスをいっしょに入れる必要があります。そのときにヒラタのオスは凶暴で気に入らないことがあればすぐにメスをバラバラにしてしまいます。そこで餌皿を入れるとストレスが減ってオスとメスが仲良くしてる場合が多かったです。餌皿を入れておくとメスのバラバラ率もかなり下がるので入れておいたほうがいいでしょう。その他には転倒防止用樹皮やのぼり木をセットするとよいでしょう。
6.霧吹き
産卵セットはあまり触らない方がいいですがマットの表面がかわいていたら加湿しましょう。
<セット方法>
まず、産卵木の準備をしましょう。雑虫を殺虫するために電子レンジや熱湯につけて殺虫します。産卵木は加水のため半日〜一日ほど水に漬け水をよくきってから使います。産卵セットはヒラタはマット産みもするので底から3〜5cmくらいマットを硬く詰めます。その上に材を並べます。(できるだけ隙間無く並べると良いと思います。このとき並べ方は縦でも横でも構いません。)さらにその上からマットで埋め込みます。(このとき隙間が多いと雑菌やカビが発生します。)表面から少し材が飛び出す程度か完全に埋めてしまっても問題ありません。あとはお好みで餌皿やのぼり木等を並べます。その後成虫を入れるのですが♂を先に入れ落ち着いてから♀を入れたほうが無難です。(そのまま入れてしまうと挟み殺してしまう可能性があるので・・)メスが野外採集品の場合や外国産WILD物の場合はすでに交尾が完了している場合が多いのでオスはセットしなくてもよいと思います。(セットしていて産んでいる様子が無かったらまだ交尾済みではない場合があるのでオスを入れてみましょう。)昨年セットに使ったものや野外採集品外国産WILD物の場合は弱っている可能性があるので産卵前には栄養価の高い餌をたっぷり与えましょう。
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産卵セット例 |
<管理>
オスとメスの仲が悪いようならば別のオスと替えます。(そうしないとオスに挟まれてばらばらになります。)それでも仲が悪いようであれば、まだ交尾器や産卵器が未熟なのかしれません(外国産の場合大体羽化してから3ヶ月たったら成熟していて交尾可能です。ブリードものなら羽化時期などを聞いておくと良いでしょう。※国産の場合は羽化後一度越冬したものを使わないとあまり産卵しない場合があります)オスとメスをいっしょにしてから1週間たったらもう交尾は済んでいるものと思われますのでオスは別にしたほうがよいです。その後は産卵に専念させるためなるべく暗くし、振動を極力少なくしましょう。メスが産卵木を齧ってがぼろぼろになっていたり産卵痕があったり底に幼虫や卵が見えていたら産卵は成功だと言えます。メスが齧り始めてから一ヶ月くらいでメスはセットから外した方が無難です。(メスは産卵後の体力回復のため自分の産んだ幼虫を食べようとします。なので長居間放置していたら幼虫の数は減ります。)取り出した後は産卵で体力を消耗しているので栄養のあるものをたっぷり食べさせます。
<回収>
メスを取り出してから一ヶ月位たったらいよいよ楽しみにしていた割り出しです。(回収が早いとデリケートな卵とか孵化したばかりの初令幼虫で出てくる可能性がありますので避けましょう。)
◆用意するもの◆
・刃物(ノミ、鉈、大型のマイナスドライバーなど)
ヒラタに使うような柔らかい材は殆どの場合手で割れるくらい柔らかいですが、なかには固い部分もありますので用意したほうがいいでしょう。鉈だと慎重に作業しにくいのでノミがお勧めです。
・容量の大きいコンテナやバット
産卵セットを回収する時は幼虫を傷つけないようにまずケースごとひっくり返してしまします。
・割った後の材やマットを保管する時の容器
一ヶ月ほど保存するので保湿性の高いコンテナ等が良いと思います。
・割り出した幼虫を保管するときのケース
プリンカップがよく使われています。(念のため50個くらい用意していたほうが無難です。)幼虫で菌糸瓶飼育にしようと思っている方は菌糸カップを使われるのも良いと思います。
・ケースに詰めるマット
菌糸カップを使用する場合特に必要ありませんが通常の場合はプリンカップにマットを詰める必要があります。このときのマットは通常に幼虫飼育するのと同じものでいいですが幼虫がまだ幼い場合もあるのでできれば粒子の細かいものを使いましょう。マットを入れるときは産卵セットで使用したマットを混ぜるといい結果になるように思います。
・スプーン
幼虫を直接手で触るのは幼虫にとってもよくないので移動の際にはスプーンなどを利用しましょう。
◆割り出し◆
産卵セットの上にのっている餌皿やのぼり木等をどかしたら産卵セットごとケースの上にひっくり返してしまいます。あちこち動き回のでマットにいる幼虫から先に回収した方がよいです。回収した幼虫はプリンカップなどに入れて保管します。マットの分を回収し終わったら産卵木を割り探します。産卵木の繊維方向に合わせて丁寧に割っていきます。幼虫が食べた後の食痕がみつかるのでそれを発見したら更に丁寧に割るようにします。するとその先には幼虫が出てくるはずです。手で割れないような材は木目にそって刃物で慎重に割っていきます。(慎重にやらないと幼虫をプッチンしてまう恐れがあります。)幼虫が出てきたら出てきたらスプーンで取り出します。(材に幼虫の体の一部分だけが見えていて取り出しにくい場合はくち木の破片等を顎にかませて引きずり出すと簡単に取り出せます。)それから卵が見つかった場合ですが他の幼虫同様にプリンカップに入れます。(マットに窪みを作ってそこに卵を入れるようにします。卵の場所を分かりやすくするために蓋などに印をいれ卵の位置がわかるようにしておきます。)作業が全部て終わったら割り出した後の材、マットは保湿が出来るコンテナ等に入れます。
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木目に沿って割り出すと失敗が少ない。 |
◆その後の管理◆
・割った後の材やマット
割り出した後の朽木は1ヶ月くらい経ってからからもう一度見てみましょう割り出しの時に発見できなかった大きくなった幼虫が出てくることがよくあります。(割り出すまでの間は湿度もしっかり保ちましょう。)
・割り出した後の幼虫の管理
ある程度大きくなるまでこのままで大丈夫です。その後の幼虫の管理は「X幼虫の飼育」で解説します。
X.幼虫の飼育
クワガタを飼うなかで目に見えて大きくなるので楽しくそして重要なところです。幼虫は産卵で産ませる他、お店で購入するのもよいでしょう。幼虫飼育となると菌糸瓶飼育、発酵マット飼育等が主流です。(材飼育というのもありますが時間がかかりますし大食漢なヒラタの幼虫には不向きだと思うので今回は省かせていただきます。しかし、時間と場所を取る分綺麗な個体が得られしかも安全という点もあります。)どちらも長所も短所もありますのでご自分の飼育のスタイルに合わせて決めると良いと思います。
<マット飼育>
添加剤等を入れ発酵させたマットをビンなどに詰めて育てる方法です。基本的には買うより自作の方が低コストでよいと思います。自作される場合はこちらをご参照ください。
長所:マットの材料を買って来て自分で作るとかなりの量を低コストで作れます。マットの質によってはそれなりに大きく育ちます。管理が菌糸瓶と比べると楽ですが添加量の多すぎるマットだと死亡率も高いのでその辺は注意するようにします。
短所:自作する場合は一度に発酵マットを沢山作らなければならないので場所を取ります。発酵には時間と手間がかかります。完成したマットの質のよって幼虫の成長具合に左右されます。
・セット
適度に加湿した発酵マットをすりこぎなどをつかって容器に詰めましょう。(ただしめちゃくちゃ固める詰める必要はありません。)発酵のあまり進んでいないマットだと加湿した際に再発酵するおそれがありますのでしばらく置いておいた方が無難です。中央に幼虫が入いりやすいように窪みをつけると体重の減少(交換のショックで糞を出して体重が減少する恐れがあります。)しばらくたって容器の横から幼虫が見えたらひとまず安心です。容器の大きさは雌と小型オスで1リットル、大型オスで2リットル、超大型固体になると3リットルもいります。容器はコーヒーの空き瓶や市販の飼育用瓶がいいでしょう。
・管理
あまり幼虫を見すぎると幼虫に悪影響なのでできるだけ振動を与えないようにして下さい。(できるだけ暗い温度変化の少ない所で管理すると羽化不全の確立が減ったりいい結果が得られるようです。)
容器の中が糞で満たされてきたら(前よりマットが細かくなったり色が変化します)そういう部分が8割をしめたら交換しましょう。幼虫をスプーンで慎重に取り出し新しいえさと交換します。このとき新しいマットに前のマットを4分の1ほど入れておきます。これはオスの場合三回程度交換することになります。幼虫が黄色っぽくなったら蛹化寸前ですので交換してはいけません。
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マット飼育 |
<菌糸瓶飼育>
オガクズにキノコの菌糸を発育させて容器に詰めて育てる方法。現在主流の飼育方法です。
長所:お手軽にできとても大きくなります。
短所:マットに比べデリケートで温度管理が必要です。
菌糸瓶の上の方は皮膜があるのでそれを思い切ってスプーンで取ってしまいます。幼虫が入るくらいのくぼみを開けます。
夏場は冷房の効いた部屋で管理するようにして下さい。(腐敗し水が出て菌糸瓶にも幼虫にも悪影響です。)冬場でも温度変化の激しい所に置くと同じ様なことがおきますので冬場も温度管理をした方が無難です。(温度は人間が心地よいと思うくらいの温度がよいみたいです)餌交換は菌糸の白い部分が食べられて茶色い部分が80〜60%になったら交換の時期と言われています。方法はマット飼育同様スプーンです。これはオスの場合約三回程度交換することになります。幼虫が黄色っぽくなったら蛹化寸前ですので交換してはいけません。
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できるだけ新鮮な物を選ぶといい | ![]() |
茶色い部分が食痕 |
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大型幼虫はケースの中に菌床を そのまま入れて飼うのもありです。 |
Y.蛹化・羽化
いよいよ待ちに待っていた瞬間です。この時期は非常にデリケートなので振動などに細心の注意を払いましょう。
<蛹化>
昆虫の幼虫が蛹になるときを蛹化といいます。幼虫は蛹になる前に蛹室というまゆ状の部屋を作りその中で蛹になり、そして成虫になります。蛹化失敗して羽化不全になる時があります。少しへっこむ程度の軽いのならばあまり問題はないですが場合によっては死んでしまう事もあります。羽化不全防止するには振動を極力避けるのは当然で容器の幅が足りなかったために羽化不全と言う場合もあります。容器の幅が足りなさそうな時は蛹化しそうなタイミングを見計らって瓶を横に倒すをいいです。もし蛹室が崩れたり大きさが足りなさそうだったら人工蛹室を使いましょう。
<蛹の管理>
することは特にありませんが蛹はデリケートなので振動を与えてはいけませんそれは蛹化前の幼虫や羽化直後の成虫にも同様です。蛹化したばかりの蛹は透き通っていて綺麗です。時間がたつと徐々に黄土色になっていき不透明になります。
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蛹化前の前蛹 |
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蛹 |
<人工蛹室>
サイズが足りない場合蛹室の状態が不味い場合はこれをおすすめします。オアシス(花屋さん等で売っているスポンジ)を使ってやるのが簡単で無難です。うまく整形できればティッシュやスポンジでも作れます。彫るサイズや幅は元々入っていた蛹室を参考にして作ってみましょう。(蛹が暴れて飛び出さないように返しをつけることをお勧めします。)多少狭く感じても無事に羽化するはずです。ある程度形が整ったら水を染み込ませましょうはプラケースなどにいれ蓋に新聞紙などを挟んで乾燥を防ぎます。(乾燥した場合は少し水を入れます。)
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人工蛹室 |
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この幼虫に対しては広すぎる蛹室(^^;;; |
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羽化不全(少しへっこむ程度では産卵や交尾に支障はない)。 |
<羽化>
蛹の色が赤っぽくなって中身が見えてきたら羽化寸前です。しばらく経つと羽化が始まりますがこのとき極力振動を避けましょう。羽化したばかりの個体は背中あたりが白くて柔らかいのでとてもデリケートなので触らないようにして下さい。時間がたつと徐々に赤褐色なり最後にはいつも見慣れている色になります。大体羽化後1ヶ月くらいで取り出しても大丈夫です。時間さえ気にしなければ自然に出てくるのを待つのもよいでしょう。産卵セットに使うには国産は次の年、外国産は半年以上待った方が無難です。
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羽化後早めに取り出した成虫 |
Z.終わりに・・。
リニューアルに伴いこのマニュアルも新しくしてみました。以前よりは文章などは改善していると思いますがまだまだダメだと思います(^^;)またおかしな所がありましたら教えて下さい。前回同様いい写真が用意できなかったのが少し残念です。前回も言いましたが幼虫が増えすぎたからと言って放虫などと言う自分勝手な行為は絶対になさらないで下さい。
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